【セカンド】60歳からの学び直し:資格・大学・オンライン学習の選択肢とは?

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60代になってから「今さら勉強しても仕方がない」と思っていないでしょうか。しかし、仕事や子育てが一段落し、自分のために時間を使いやすくなる60代こそ、学びなおしに向いた時期です。

社会の変化は速く、特に生成AIの普及は仕事の進め方そのものを変え始めています。これまでの経験が通用しなくなるのではなく、経験に新しい知識や道具を掛け合わせる力が求められているのです。

60代の学びなおしは、転職や収入アップだけが目的ではありません。仕事を続けるためのリスキリング、新しい分野への挑戦、知的好奇心を満たす学び、地域や社会とのつながりづくりなど、目的は人それぞれです。

大切なのは「何のために学ぶのか」を決め、資格、大学、オンライン学習などから、自分に合う方法を選ぶことです。

なぜ今、60代にも「学びなおし」が必要なのか

リスキリングという言葉を耳にする機会が増えました。厚生労働省の2026年の職業能力開発基本計画でも、労働者や企業における職業能力開発・リスキリングの必要性や重要性について、社会全体の理解を促す方向が示されています。

ここで注意したいのは、リスキリングを「若い人のためのIT研修」と考えないことです。60代であっても、再雇用、フリーランス、地域活動、起業など、社会との接点を持ち続けるなら、新しい知識を取り入れる意味があります。

また、学びなおしは仕事のためだけではありません。定年で会社という大きなコミュニティから離れた後、「何をして過ごせばいいのか分からない」という人もいます。学ぶテーマが一つあるだけで生活にリズムが生まれ、同じ関心を持つ人とのつながりも生まれます。

例えば、定年後に週3日働きながら、週末はオンライン講座で歴史を学ぶ。「来週も続きを学びたい」と思えること自体が生活の張りになります。

資格取得:目標が明確で達成感を得やすい

60代の学びなおしで最初に思いつきやすいのが資格取得です。

資格学習のメリットは、学ぶ範囲とゴールが明確なことです。ファイナンシャルプランナー、簿記、ITパスポート、宅地建物取引士、語学資格など、これまでの経験と組み合わせやすい資格もあります。

ただし、「資格を取れば仕事が見つかる」と考えるのは危険です。60代では資格そのものより、これまでの経験と資格をどう組み合わせるかが重要です。

例えば経理経験の長い人が簿記を学び直し、さらにITやAIの知識を身につければ、小規模企業の経理効率化を支援できるかもしれません。資格はゴールではなく、自分の経験を別の形で社会に提供するための「道具」と考えるとよいでしょう。

例えば「昔からお金のことには興味があった」という人が退職後にFPを学び、家計や相続の知識が自分にも役立ち、やがて友人から相談されるようになる。これも立派な学びなおしです。

大学・大学院:「役に立つか」だけで学ばなくてもいい

60代から大学や大学院で学ぶ方法もあります。

文部科学省は社会人の学び直しを支援しており、大学などの講座やリカレント教育に関する情報を「マナパス」で提供しています。社会人向けのさまざまな講座を検索でき、「何を学べばよいか分からない」という人も学びの選択肢を探すことができます。

文部科学省「マナパス」
大学・大学院などが提供する社会人向けの講座やリカレント教育を検索できます。
https://manapass.mext.go.jp/

大学で学ぶ魅力は、体系的に知識を深められることです。

現役時代は「仕事に役立つか」で学ぶ内容を選びがちです。しかし60代なら、歴史、哲学、心理学、文学など、「以前から知りたかった」という理由で選んでもいいのです。

人生経験を重ねた後だからこそ、若い頃には難しく感じた学問が違って見えることもあります。

例えば学生時代には興味のなかった日本史を60代で学び直し、旅行で寺社や城を訪ねる楽しみが増える。学びは趣味の世界まで広げてくれます。

オンライン学習:60代にこそ相性のよい学び方

「大学まで通うのは大変」という人には、オンライン学習があります。

現在は大学の講座だけでなく、デジタル、語学、会計、マーケティングなど幅広い分野を自宅から学べます。文部科学省の「マナパス」に加え、IPAの「マナビDX」ではデジタルに関する知識・能力を身につける講座を探すことができます。

IPA「マナビDX」
AI、DX、データ活用など、デジタル分野を学びたい人向けの講座を検索できます。
https://manabi-dx.ipa.go.jp/

オンライン学習のメリットは、自分のペースで進められることです。一方、申し込んだだけで満足しやすい弱点もあります。「毎朝9時から30分」「週3回」など、学ぶ時間を予定表に入れてしまうのがおすすめです。

例えば朝食後に30分だけ動画講座を見る。それを3か月続ければ約45時間です。「まとまった時間がないから学べない」のではなく、小さく続ける仕組みをつくることがポイントです。

AI時代に60代が学ぶべきなのは「AIそのもの」だけではない

ここでぜひ考えてほしい質問があります。

「あなたはAIを使えますか?」

生成AIは文章作成、情報整理、アイデア出し、翻訳、学習支援など、さまざまな用途で活用されています。経済産業省とIPAが整備する「デジタルスキル標準」も、AI活用やAX(AIトランスフォーメーション)の進展を踏まえて改訂され、2026年4月にはVer.2.0が公表されています。

経済産業省「デジタルスキル標準ver.2.0(DSSver.2.0)を公表します」
https://www.meti.go.jp/press/2026/04/20260416002/20260416002.html

だからといって、60代がプログラマーになる必要はありません。

重要なのは、AIに何を聞くか、出てきた答えが正しいかをどう判断するか、仕事や生活のどこで使えるかを考える力です。これから価値が高まるのは、知識を暗記する力だけでなく、問いを立てる力、比較する力、疑う力、判断する力、いわゆる知性でしょう。

IPAも、AI時代にはAI・データなどの技術的なスキルだけでなく、分析的思考などの人間側のスキルが引き続き重要であると紹介しています。

長年仕事をしてきた60代には多くの経験があります。その経験にAIを組み合わせれば、若い世代とは違う強みになります。

例えば旅行計画をAIに作らせ、そのまま採用せず「移動時間は現実的か」「自分の体力に合うか」と確認して修正する。これもAI時代に必要なリテラシーです。

学び続けることは、脳と生活にもよい刺激になる

60代になると、認知症を身近な問題として意識する人も増えてきます。

ここで誤解してはいけないのは、「勉強すれば認知症を防げる」と断定することはできないという点です。認知症にはさまざまな要因があり、学習だけで予防できるものではありません。

一方、厚生労働省は認知機能低下への対応として、運動、食事、認知トレーニング、生活スタイルなど複数の要素を組み合わせた取り組みを紹介しています。また、趣味やボランティアなどの社会参加についても、介護や認知症のリスク低下との関連が報告されています。

学びの価値は、単に頭を使うことだけではありません。講座に出かける、人と話す、分からないことを調べる、覚えたことを誰かに説明する。こうした行動が生活に刺激と目的を与えてくれます。

例えば英会話教室に通えば、単語を覚えるだけでなく、教室まで歩き、人と会い、会話をします。「学ぶこと」をきっかけに活動範囲が広がることに意味があります。

60代の学びなおしは「何を学ぶか」より「どう使うか」

学びたい気持ちはあるものの、「何を勉強したらいいか分からない」という人もいるでしょう。

そんなときは資格ランキングから選ぶのではなく、「これまで何を経験してきたか」「今、何に興味があるか」「これから誰の役に立ちたいか」の三つを考えてみてください。

例えば営業経験があり地域活動に興味があるなら、傾聴やキャリア支援を学ぶ。経理経験がありITに興味があるなら、AIやデータ活用を学ぶ。英語が好きなら、外国人支援のために学び直す。経験と関心を掛け合わせると、自分らしいテーマが見つかります。

そして学んだことは、できるだけ使ってみることです。人に説明する、ブログに書く、ボランティアで活用する、小さな仕事で試す。インプットとアウトプットを繰り返すことで知識は自分のものになります。

例えば生成AIの本を10冊読むより、まずAIを使って町内会のお知らせ文を作ってみる。その小さな実践のほうが大きな学びになることがあります。

まとめ:60代は「知識を使い切る年代」ではなく、アップデートする年代

60歳からの学びなおしに「遅すぎる」ということはありません。

定年後は、会社から与えられた研修ではなく、自分が必要だと思うことを自分で選んで学べる時期です。

資格取得で目標をつくる。大学で興味のあった分野を深く学ぶ。オンライン講座でAIやデジタルを学ぶ。どれが正解ということではありません。

重要なのは、学んだ知識をこれからの仕事や生活、人とのつながりにどう生かすかです。

特にAI時代には、新しい道具を怖がって避けるのではなく、まず使ってみる姿勢が求められます。同時に、AIの答えをそのまま信じず、自分で考え、問い、判断する知性も必要です。

そして学ぶことは仕事のためだけではありません。新しいことを知る楽しさ、人と出会う楽しさ、自分がまだ成長できると感じる喜びがあります。

60代は「これまで身につけたものを使い切る年代」ではありません。

これまでの経験に新しい知識を足しながら、自分自身をアップデートする年代です。

まずは興味のある講座を一つ検索する。本を一冊開く。AIに一つ質問してみる。

その小さな一歩から、60代の新しい学びなおしが始まります。

当メディア管理人
じょう

日系企業から外資系CFOまでキャリアアップを経験し、定年後は「定年ぼっち起業」を実践中。キャリア・お金・ライフプランに関する豊富な経験と、中小企業診断士・FP・キャリアコンサルタントなどの資格を活かし、現役世代からシニア世代までのライフ・バリュー・アップを支援。
本ブログ「キャリ道」では人生の転機に役立つヒントを発信しています。

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