【ライフ】60代一人暮らしのための安心生活設計

セカンドキャリア

高齢化が進み、単身世帯が急増する中、「老後を一人でどう過ごすか」というテーマは、多くの60代前半、またはその手前の50代にとって切実な関心事となっています。特に、これまで仕事や家族に注力してきた方ほど、自分の老後をどのようにデザインするかを真剣に考える時期に入っているのではないでしょうか。

本記事では、長年ビジネスの現場や人生設計の支援に携わってきた筆者の視点から、「60代一人暮らしのための安心生活設計」について、実例を交えながら、現実的かつ実行可能なヒントをお届けします。

60代一人暮らしの現実と不安

厚生労働省の統計によれば、65歳以上の単身世帯は年々増加しており、今後さらに増える見通しです。一人暮らしの老後には、「健康不安」「経済的不安」「孤独感」「もしもの時の対応」など、複合的な課題がついて回ります。特に、緊急時に頼れる人がいない場合、適切な対応が遅れるリスクもあります。また、日常生活の中でのちょっとした困りごとを相談できる相手がいないことも、精神的な負担となり得ます。

事例:58歳で離婚を経験した男性の場合
長年勤めた会社を早期退職後、一人暮らしをスタート。最初は自由を楽しんでいたものの、2年後に持病の悪化で入院。その際「身寄りがない」と判断され、病院側との意思疎通に苦労しました。現在は地域包括支援センターを活用し、生活設計を見直しています

住まいの選び方と地域とのつながり

一人老後の生活において、「どこに住むか」は非常に重要なテーマです。物件のバリアフリー性や交通の利便性以上に、地域のサポート体制や医療体制も考慮すべきポイントです。また、防犯面や災害時の対応力も重要な要素となります。安心して暮らせる環境を選ぶことが、心身の健康維持にもつながります。

事例:都心から地方都市へ移住した女性
定年を機に、東京から長野の温泉地近くへ移住。地域の高齢者サロンに通ううちに多くの知人ができ、孤立感が解消されたと話しています。家賃も抑えられ、生活費の見直しにもつながったとのこと。さらに、自然豊かな環境での生活が、心の安定にも寄与しているそうです。

ポイント:

  • 自治体の高齢者福祉サービスの有無を確認
  • 「見守り体制」や「地域包括支援センター」との連携
  • 高齢者向けシェアハウスという選択肢も
  • 防犯設備や災害対策が整った物件の選定

生活費とお金の不安を減らす方法

一人暮らしにおける老後資金は、「必要最低限」ではなく「安心して暮らすためのゆとり」をもたせることがカギです。収入と支出のバランスを見直し、無理のない範囲での資産運用や節約を心がけることが重要です。また、公的支援制度や税制優遇措置の活用も、経済的不安の軽減につながります。

事例:60歳で自宅を売却し、コンパクトな賃貸へ移った男性
「資産を守るより、生活を守る」との考えで、自宅を売却し月8万円の賃貸マンションへ。売却益の一部を生活費に、残りを投資信託で分散運用。年金+運用益で安定した生活を実現しています。さらに、生活費の見直しにより、趣味や旅行などの楽しみにも予算を充てられるようになったそうです。

対策例:

  • 固定費(家賃・通信費・保険)を見直す
  • セカンドキャリアでの収入確保
  • 万一に備えた信託や任意後見制度の検討
  • 公的支援制度や税制優遇措置の活用

孤独とどう向き合うか?人とのつながりの作り方

一人暮らしが長くなるにつれ、精神的な充実も大きな課題になります。社会とのつながりを保つことは、認知機能や心の健康維持にもつながります。また、日々の生活に目的や楽しみを見出すことが、孤独感の軽減に効果的です。

事例:地域の「読み聞かせボランティア」を始めた女性
退職後にボランティア活動に参加。毎週決まった時間に地域の保育園へ行くことで、生活にリズムが生まれ、自分の存在価値を再確認できるようになったと語っています。さらに、子どもたちとの交流が日々の楽しみとなり、心の充実感を得ているそうです。

アクションアイデア:
 地域活動・NPO・シニア向け講座に参加
 趣味やスキルを活かして「教える側」へ
 近所の人と挨拶を交わす習慣を
 SNSやオンラインコミュニティでの交流

「もしも」に備える終活と意思表示

一人暮らしだからこそ、「自分の意思をきちんと形にしておく」ことが求められます。元気なうちから準備を始めることで、本人の安心だけでなく、周囲への負担も軽減できます。また、定期的な見直しを行うことで、状況の変化に柔軟に対応できます。

事例:エンディングノートを毎年見直している男性
65歳で書き始めたエンディングノートを、誕生月ごとに見直す習慣に。医療や介護の希望、資産の棚卸、友人へのメッセージなどを記載。「いざという時に備えてある」こと自体が安心材料になっているそうです。さらに、家族や友人との関係性を見直すきっかけにもなっているとのことです。

重要ポイント:

  • エンディングノートや遺言書の作成
  • 任意後見契約の検討
  • 財産管理契約や死後事務委任契約の活用
  • 定期的な内容の見直しと更新

まとめ|一人暮らしでも「安心」はつくれる

一人老後という言葉には、どこか不安がつきまといます。しかし、事前に知識を得て、ひとつひとつ準備を重ねていけば、その不安は「備え」に変えることができます。

安心な老後は、偶然や誰か任せで訪れるものではなく、自らの意思でつくっていくものです。これまで仕事や家庭で培ってきた経験や知恵を、今後の生活設計にしっかり活かしていきましょう。

参考になるウェブサイトのご紹介:

  • 金融庁 ライフプランシミュレーター:将来の資金計画や生活設計のサポートを目的としたシミュレーションツールです。 金融庁
  • 知るぽると ライフプランシミュレーション:老後の生活費や年金受給額などをシミュレーションできます。 知るぽると
  • 日本FP協会 ライフプラン診断:簡単な質問に答えるだけで、将来の家計を診断できます。 jafp.or.jp
  • おひとりさま老後を楽しむノウハウ:一人暮らしの高齢者が抱える不安や生活の知恵について、実例を交えて紹介しています。 ベネッセスタイルケア
当メディア管理人
じょう

大学卒業後、日系の経理部員からキャリアをスタートし、欧米、台湾など主に外資系にて転職を経験。その間、マネージャーからCFOへと着実にキャリアアップを実現。
 定年後、会社設立し定年ぼっち起業。キャリアアップ経験、多くの採用活動の経験、求職側と採用側の両方の経験などを活かしたキャリアアップ支援を実施中。また、中小企業診断士、ITコーディネーター、ファイナンシャル・プランナーなどの資格を活かした個人のライフ・バリュー・アップをサポート中。2024年5月国家資格キャリアコンサルタント登録。
 このサイトでは、「キャリア=ライフ・バリュー」と捉え、「自分らしくキャリアアップをしながら、ライフバリューアップを目指している人に向けてのコンシェルジュ」を目指して、情報を発信中。

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