キャリアコンサルティングにおける自己概念

コンサルティング

自分自身を知ることはキャリアアップにはとても大切。自分自身を知る=自己概念についての考え方を深掘りします。キャリアコンサルティングにおいて自己概念の考え方を重視した学者、カール・ロジャーズとドナルド・スーパー。彼らの自己概念の考えについて、簡単に紹介する。

ロジャーズの自己概念論

カウンセリング理論における「自己概念」は、アメリカの心理学者カール・ロジャーズ(Carl Rogers)によって提唱された概念が代表的です。
彼は人間中心主義の心理学において重要な提唱者であり、人間の成長と発展に関する理論を発展させました。

自己概念は、個人が自分自身について持っている認識や理解のことを指します。これは、自己認識の中核をなす要素であり、人が自己同一性を形成し、維持し、発展させるのに重要な役割を果たします。
もう少し平易な表現として、自己概念は自己イメージ、セルフイメージと捉えることもできます。

ロジャーズは、自己概念が以下のような特徴を持つと述べました。

1)現実の自己(Actual Self):これは、個人が現在の状態で自分自身をどのように見ているかを示します。つまり、個人が自分の外見、性格、価値観などについてどのように認識しているかを表現します。

2)理想の自己(Ideal Self):これは、個人が自分自身を理想的にどのようになりたいと思っているかを示します。個人の目標や価値観に対する理想的な認識を表現します。

ロジャーズは、これらの自己概念が一致している場合、個人は自己受容感や満足感を高め、精神的な健康を向上させると考えました。逆に、自己概念の不一致や矛盾がある場合、個人は不安やストレスを感じ、自己成長に制約を受ける可能性があるとされています。

1)人は成長の過程で、下記の図のように理想と現実の自己の重なりを多くしながら、自己イメージ(自己概念)を形成していく
2)同時に周囲の期待や要求について意識する
3)周囲に受け入れられたいがために、防衛が働き、経験を歪めてしまうことが起きる
4)自己概念と一致しない経験が起きる
5)ロジャーズは、自己概念と経験が一致している状態を「一致」、そうでない状態を「不一致」とした。

ロジャーズの自己概念理論は、カウンセリングに関する理論の代表的なものであり、キャリアコンサルティングのみならず、心理療法や教育において広く応用されており、個人の自己理解や自己肯定感を向上させるために使用されています。
自己概念を理解し、肯定的に育むことが、個人の心理的な健康と幸福感を向上させるのに役立つとされています。

カウンセラーに求められる基本的態度の3条件は 受容、共感、一致

1)無条件の肯定的関心(受容的態度):クライアントに対して無条件の肯定的関心を持つこと
2)共感的理解(共感):クライアントの内的世界(リアリティ)共感的に理解し、それを相手に伝えること。
3)自己一致:クライアントとの関係において心理的に安定しており、ありのままの自分を受容していること。

ロジャーズ理論では、カウンセラーがクライアントに対して上記2)共感的理解(共感)がどこまでできるかが重要と考えられている。その理解は「共感的であって,、同感的ではない」ことがポイント。
 共感とはあたかも相手と同じように感じながら、巻き込まれてしまわないような感じ方と言えます。
具体的な例としては、共感=「あなたはこう感じられるのですね?」に対して、同感=「私もこう感じる」、つまり、「わかった気にならない!」というのがとても大切です。

カウンセリングの効果

カウンセリングを通じて、ロジャーズの自己概念は下図のように変化すると言われており、この変化がカウンセリングの効果と言えます。
自己不一致 → カウンセリングにより自己概念と経験の重なりを増やし → 最後に自己一致に至る。

カウンセリングの効果

スーパーの自己概念理論

ドナルド・スーパー(Donald Super)は、職業発展心理学(Career Development Psychology)の分野で知られる心理学者であり、彼の自己概念に関する理論は、職業選択と発展に焦点を当てています。

キャリア自己概念の特徴
 1)自己概念=個人が自分自身をどう感じているのか、自分の価値観、興味、能力がいかなるものか、について、個人が主観的に形成してきた自己についての概念主観的自己)と他者からの客観的なフィードバックに基づき形成された概念客観的自己)が、個人の経験を統合されて構築されていく概念。

2)自己概念は多面的な構造から成り立っていて、他者からのフィードバックにより、肯定的なもの、否定的なものも存在する。

3)自己概念はキャリア発達を通じて形成されていく。働きながら自己概念が形成されていく

まとめ


 自己概念(自己イメージ、セルフイメージ、自分の価値観など)は、理想と現実があり、経験を通じて受容し、共感し、一致していく。(by ロジャーズ)
 また、その自己概念は主観的自己、客観的自己が存在し、否定的なもの肯定的なもの
など多面的な構造から成り立っている。そしてそれらの自己概念は働きながらキャリアを通じて形成されていくものである。(by スーパー)

 キャリアアップを通じて自己概念を高めていき、そして人生における個人のバリューが高まっていく、そんな意識がますます必要になっていると感じます。

当メディア管理人
じょう

大学卒業後、日系の経理部員からキャリアをスタートし、欧米、台湾など主に外資系にて転職を経験。その間、マネージャーからCFOへと着実にキャリアアップを実現。
 定年後、会社設立し定年ぼっち起業。キャリアアップ経験、人事部ではなく採用部門側として700人以上の経歴確認や300人以上の採用面接の経験、求職側と採用側の両方の経験などを活かしたキャリアアップ支援を実施中。また、中小企業診断士、ITコーディネーター、ファイナンシャル・プランナーなどの資格を活かした個人のライフ・バリュー・アップをサポート中。2024年5月国家資格キャリアコンサルタント登録。
 このサイトでは、「キャリア=ライフ・バリュー」と捉え、「自分らしくキャリアアップをしながら、ライフバリューアップを目指している人に向けてのコンシェルジュ」を目指して、情報を発信中。

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