キャリアコンサルタントとは
厚生労働省HPによると
「キャリアコンサルタント」とは、キャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consulting.html
職業能力開発促進法では「キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルタントの名称を用いて、キャリアコンサルティングを行うことを業とする」(第30条の3)
つまり、キャリアコンサルタントの名称でキャリアコンサルティングを仕事としている人、ということとなります。
ここでポイントは、キャリアコンサルタント(略してキャリコンとも言います)という名称です。
この名称は、国の登録機関が行うキャリアコンサルタント試験に合格し、指定登録機関に登録した人しか使えない名称独占資格となります。
なので、キャリアコンサルティングと同じような仕事をしていても、試験に合格し登録していない人はキャリアコンサルタントととは名乗れません。そういう方が、キャリアアドバイザーやキャリアカウンセラーなどと名のりキャリアコンサルティングを行っている場合もあるようです。
一方で名称独占とはいえ、キャリアコンサルタントとして国家資格を持つことは、クライアントに対して高い品質のサービスを提供し、専門的な基準を満たすことを保証することになるので、コンサルタントとしてとても重要な条件となると思います。
では、そのキャリアコンサルティングとはどんなことをするのでしょうか?
キャリアコンサルティングとは
キャリアコンサルティングを規定する前出の職業能力開発促進法第2条第5項によると
「キャリアコンサルティングとは、労働者の職業選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び工場に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことを言う」
より端的に言い換えると、キャリアに関して相談→助言→指導を行うことである。
別な表現では、キャリア課題に対して、カウンセリング→傾聴→自問自答→自己理解→アドバイス→情報提供→問題解決 というのが大まかなプロセスとなります。
国家資格キャリアコンサルタント(以下、キャリコン)は、キャリアコンサルティングの専門家。
キャリコンは、個人や組織に対して職業選択、キャリアプランニング、転職支援、職業指導などの専門的なサービスを提供する際に高い専門知識とスキルを持っています。
キャリコンの主な役割と責任について
- クライアント評価: クライアントのスキル、価値観、キャリア目標、経験などを評価し、最適な職業選択やキャリアパスを特定する。
- キャリアプランニング: クライアントと共に、長期的なキャリア目標を設定し、それに向かうための計画を策定する。
- カウンセリングとアドバイス: クライアントが職場で直面する問題やストレスに対処し、キャリアに関する意思決定をサポートする。
- スキル開発と継続的な学習: クライアントが必要とするスキルの特定と、それを向上させるためのトレーニングや継続的な学習計画を立案する。
- 転職支援: 転職を検討しているクライアントに対して、求人検索、応募戦略、面接対策、交渉スキルの向上などの支援を提供する。
キャリコンの主な支援領域と職務内容について
- 企業領域:企業の人事部などに勤務しながら
主な職務内容:社員の人材育成、職場定着支援(離職率が増え、最近重要視されてきている) - 官民の労働需給調整システム領域:ハローワークなど公的機関、職業紹介事業、労働者派遣事業、アウトプレースメントなどの民間就職支援機関
主な職務内容:職業紹介、求職活動支援、スキルトレーニング支援 - 教育機関:中学校から大学院まで
主な職務内容:就職課、キャリアセンターによる就職活動支援、キャリア教育
キャリアコンサルタント、キャリアアドバイザー、キャリアカウンセラーの違いは?
キャリアコンサルタント、キャリアアドバイザー、キャリアカウンセラーは、キャリアに関連する専門家であり、類似した役割を果たすことがありますが、それぞれ異なるアプローチやスキルセットを持っている場合もあります。
しかし、明確な違いはハッキリしません。
明らかな違いは、キャリアコンサルタントはキャリアコンサルティングに関する唯一の国家資格であり、一定のスキルを保有していることが国家資格として公的に証明されていることになります。
それに対して、例えば、キャリアアドバイザーについては、名乗ることに資格は必要ない、つまり極論すると誰でも名乗ることができるということになります。
一方、キャリアカウンセラーはカウンセリングの民間資格があります。
民間のキャリアカウンセリング資格として有名なのが、「CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)」や、グローバル資格「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」です。民間のカウンセラー系の資格はたくさんあります。
進学、就職・転職など、人のキャリアを支援する専門家のことを、一般に広く「キャリアカウンセラー」と呼んでいます。2016年にキャリアコンサルタントが国家資格に移行するまで、キャリアコンサルタントとの違いはハッキリしていなかったといえます。
しかし、2016年にキャリアコンサルタントが国家資格になり、両者の違いは明確になりました。キャリアコンサルタントが名称独占になったからです。つまり、国家資格に合格して登録しなければ、キャリアコンサルタントと名乗れなくなったからです。国家資格登録者=キャリアコンサルタントになったわけです。
世の中に多く存在する民間のカウンセリング資格は、それを取得しても「キャリアカウンセラー」であり、「キャリアコンサルタント」ではないということになります。
キャリアコンサルタント、キャリアアドバイザー、キャリアカウンセラーの仕事の違いは?
進学、就職・転職など、人のキャリアを支援する専門家であることは、共通しています。しかし、国家資格の取得が前提になる場合があります。
例えば、ハローワークや職業訓練などの公的機関で相談員として、仕事をする場合は、「国家資格キャリアコンサルタント」の資格をもっていないと、今は、採用されることが難しくなっているそうです。なので、公的機関で相談業務の仕事をしたいと考えているかたは、国家資格キャリアコンサルタントは、取得が必須となっているようです。
民間企業でも人材派遣や紹介会社の相談員に、国家取得の資格を要求するところが増えているそうです。友人が働いている転職エージェント会社でも資格取得を推奨しているようです。ただ、その資格がなくても転職アドバイザーの仕事は問題ないようです。
また、一般の会社でも人事部などでは、管理職への昇格の条件に、国家資格の取得を明示しているところが出てきているようです。私が以前勤務していた会社では特に昇格条件はなく、人事部にも特に資格保有者はいませんでした。
ただ、国が「10万人に育成計画」で、国家資格キャリアコンサルタントの普及に力をいれているので、国家資格の取得が必要になる場面がますます必要になると思われます。
キャリアコンサルタントの今後の展望について
2016年4月に国家資格になって約7年が経過しました。「キャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報の告書」が公表され、それに基づき2020年4月からキャリアコンサルタント養成講座のカリキュラムも改正されました。
主な改正点は、① 企業内キャリコンの充実、② 事業場における治療と職業生活の両立支援、② リカレント教育の拡充と発展です。
詳しくは、こちら厚生労働省HP:キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタントへをご参照ください。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/career_consulting.html
例えば、中小企業にキャリアコンサルタントを定着させるという国の方針が、示されたり、病気になっても働かなくてはならない人に対するサポートの仕組み作りや「人生100年時代」の到来に備え、いつでも学びり直しができる社会を目指す(リスキリング教育体制の充実)などです。
このようなことから、キャリアコンサルタントの役割は、ますます重要になりそうです。
まとめ
キャリアコンサルタントは国家資格であり、キャリアコンサルティングを行っている人。
一方で、キャリアアドバイザーは特に資格ではなく、名乗るのも自由。
キャリアカウンセラーは、民間の資格がある。
それぞれがキャリアコンサルティングに関する仕事をしているが、一定の講習や経験と受験を得て国家資格として登録されているキャリアコンサルタントが、キャリアコンサルティングについてのスキルレベルとしては安心できるのではないかと個人的には思います。
また、人生100年時代を迎え、いつでも学び直しができるリスキリング時代を迎え、キャリアコンサルタントの活躍がこれから期待されるところだと感じます。
という私も、今この資格を取得すべく勉強中、こちらに関する情報も徐々に発信する予定です!