子どもが小学生から中学生に成長する時期は、家庭のライフプランにおいてお金の使い方が大きく変わる転機です。教育費が徐々に増え、住宅ローンの返済が続き、さらに将来の老後資金まで考えなければならない――。そんな三重苦に悩む親世代は少なくありません。
「このままのペースで家計を回していて大丈夫なのだろうか」
「教育費を優先しているけれど、老後資金は足りるのだろうか」
「住宅ローンの繰上げ返済と資産形成のどちらを優先すべきか」
こうした疑問は誰もが抱える身近なものです。そこで有効なのが、FP相談を通じて将来を見える化することです。本記事では、親世代がFPに相談するときにチェックしておきたいテーマを、実際の事例を交えながら整理します。
教育費の全体像を把握する
教育費は家庭にとって最大級の支出です。公立か私立かで大きな差があり、文部科学省の統計によれば大学卒業までにかかる費用は公立ルートで約1,000万円、私立ルートでは2,000万円を超えるケースもあります。
あるご家庭では、小学校は公立に通わせていたものの、中学から私立を希望。塾代が年間100万円近くに膨らみ、家計の負担が一気に増えました。そこでFP相談を利用し、教育費の総額を試算。子どもが大学を卒業するまでの費用を一覧化することで、安心して必要な準備ができたと言います。
教育費は「気づいたときには足りない」という事態に陥りやすいため、早めにシミュレーションしておくことが肝心です。
住宅ローンと教育費の両立
住宅ローンは教育費と並ぶ大きな負担です。返済期間が長期に及ぶため、子どもの進学時期と重なると家計を圧迫することになります。
たとえば、ある40代の夫婦は、子どもが小学校に入学したタイミングで新築住宅を購入。月々の住宅ローン返済は家計の3割近くを占めていました。子どもが中学に進学すると塾代がかかり、さらに高校進学では学費が増大。結果として、貯蓄が思うようにできず、将来の老後資金に不安を感じるようになりました。
FP相談では、住宅ローンの繰上げ返済を一部実施しつつ、教育費と老後資金のバランスをとるプランを提案。ライフイベントごとにシミュレーションを行い、「今は教育費優先」「次の数年は繰上げ返済を強化」など柔軟に調整することで安心感を得ることができました。
住宅ローンは「借りたら終わり」ではなく、ライフステージに応じて戦略的に見直すことが大切です。
老後資金とのバランス
教育費や住宅ローンを優先するあまり、老後資金が後回しになるケースも多く見られます。しかし、年金だけに頼るのは現実的ではありません。平均寿命の延びを考えると、退職後に必要な生活費は20年~30年単位で見積もる必要があります。
ある家庭では、教育費を最優先に貯めてきましたが、FP相談で試算したところ、老後資金が明らかに不足することが判明。そこで、教育費は一部を奨学金や祖父母からの援助に頼りつつ、老後資金を確実に積み立てる仕組みに変更しました。
「教育費をすべて親が負担する」という考えにとらわれず、老後資金も同時に確保していくことが、最終的には子どもに迷惑をかけない選択につながります。
保険とリスク対策
教育費や住宅ローン、老後資金を計画しても、親にもしものことが起きればすべてが崩れてしまう可能性があります。そこで重要なのが保険の見直しです。
たとえば、ある家庭では父親が世帯主でしたが、加入していた生命保険は独身時代に契約したもののまま。保障額が不足しており、万一の際に教育費がまったく足りない状態でした。FP相談では家族構成に合わせた保障額を再計算し、必要な部分だけを補強。結果として保険料の無駄を削減しながら、安心できる備えを整えることができました。
保険は「入りすぎても不足しても困る」ため、ライフステージに合わせた調整が不可欠です。
家計管理と資産形成
毎月の収支を見直すことも重要です。教育費や住宅ローンが増えていく時期こそ、固定費の削減や資産形成の仕組みづくりが効果を発揮します。
例えば、あるご家庭では通信費の見直しと保険料の整理だけで年間30万円の固定費削減に成功。その分を積立NISAに回し、老後資金の準備を加速させています。
「少額でも積立投資を継続する」ことが将来の安心につながります。FP相談では、リスクを取りすぎない形で投資を取り入れる方法を提案してもらえるのがメリットです。
キャリアと収入の見通し
教育費や老後資金を準備するためには、収入の安定も欠かせません。共働きか専業主婦(主夫)か、副業を取り入れるか、選択肢は家庭によって異なります。
ある母親は育休後にパート勤務を選びましたが、子どもの進学を前に「もっと収入を増やす必要がある」と感じるように。FP相談を通じて夫婦で将来の収入と支出をシミュレーションし、結果的にフルタイム復帰を決断しました。その結果、教育費と老後資金の両立に目処が立ちました。
収入の見通しは、ライフプラン全体の土台です。
子どもの金銭教育
お金の使い方を学ぶことも、将来に向けた大切な教育です。お小遣いの与え方やルールづくりは、早い段階から始めるのが効果的です。
ある家庭では、小学5年生の子どもに月1,000円のお小遣いを渡し、使い道を自分で管理させています。最初は全額お菓子に使っていましたが、次第に「半分は貯金しよう」と意識が変化。FP相談でもこうした取り組みを紹介することで、家庭内でできる金銭教育の工夫をアドバイスしています。
子どもが金融リテラシーを自然に身につけることは、親にとっても安心につながります。
相続・贈与を視野に入れる
祖父母が健在な場合、教育資金贈与や住宅取得資金の援助などを活用できる可能性があります。早めに制度を知っておくことで、家計の負担を軽減することができます。
ある家庭では、祖父母が孫の大学進学に備えて教育資金贈与制度を活用。税制上のメリットを受けながら、必要な資金を確保できました。FP相談では、こうした制度を正しく理解し、無理なく取り入れる方法を提案してもらえます。
まとめ
小学生や中学生を持つ親世代にとって、教育費・住宅ローン・老後資金の三大テーマは切り離せない課題です。さらに、保険・家計管理・キャリア・相続といった要素も絡み合い、全体を見通すのは簡単ではありません。
FP相談を活用することで、漠然とした不安を具体的な数字に落とし込み、最適な行動計画を立てることができます。将来に向けて安心感を得たい方は、まず一度シミュレーションをしてみることをおすすめします。